不良狼の一途な溺愛
『えっ、紫堂君が御苅さんに笑顔見せてる…』
『紫堂と御苅って、どういう関係なんだ?』
そんな声があちこちから飛び交う。
周りに目を向ければ、みんなの視線が私や紫堂君に注がれていた。
「ゆ、柚…。この状況は…一体どういうことなの?」
さっきまで一緒に話していた沙織は、口をパクパクさせながら驚いている状態だ。
「あの、えっと……これは、その……」
こんなに注目を浴びたことなんて過去に一度もなかった私。
完全にパニックになってしまった。
言葉も上手く出てこない。
対する紫堂君はと言えば、周りを気にする素振りもなく、ただ私をジッと見ているだけ。
どんだけ落ち着いてるのよ…。
っていうか、自分の席に戻ってよ…。
そう思っていると、不穏な視線を感じた。