不良狼の一途な溺愛
えぇっ!!
何を言っちゃってるんですか、先生っ!!
紫堂君の意見に簡単にのせられないで下さいよ…。
私の悲痛な想いは届くことはなく、先生はもうホームルームを淡々と進めている。
こんな席替えアリ?
不満を抱きながら紫堂君を見れば、満足げな笑みを浮かべていた。
「柚の隣は、俺以外…有り得ねぇだろ。」
フッと笑った紫堂君は、いきなり私の耳元へと顔を近付けてきた。
「放課後の約束、忘れんなよ?授業が終わったら直ぐに来い。」
囁かれた声に、大声を出しそうになったけれど、慌てて口を押さえた。
約束?
命令の間違いでしょ…?
ジロリと睨んだものの、そんな攻撃はあっさりとかわされ、紫堂君は欠伸をしながら机に突っ伏してしまった。
はぁ…。
放課後は無視してカフェに行こうと思ってたのに、釘さされちゃった…。
どんよりとした気持ちになりながら、沙織が持ってきてくれたカフェのチラシをカバンの中へとしまい込んだ。