不良狼の一途な溺愛
「もういいわ!今日のところは帰る。」
早崎さんは不機嫌そうに言うと、私をギロリと睨みつけた。
「蓮は誰にも譲れない。蓮に近付く女は容赦しないから。覚えておきなさいよ。」
「………。」
低い声が迫力を際立たせる。
あまりにも怖くて、直ぐに声も出てこない。
固まっている私にプイッと背を向けた早崎さんは、取り巻きの女の子たちを引きつれてスタスタと帰って行った。
あぁ…。
紫堂君が紛らわしい行動とったりするから…。
とんでもない人を敵に回しちゃったよ…。
小さくなっていく早崎さんの姿を見ながら、ガクッと肩を落とした。
「早崎、すげぇ迫力だな。蓮の前では、猫かぶって可愛く気取ってんのに。裏表、激しすぎだろ。」
そ、そう言えば…
私…誰かに抱きしめられたままだったんだ…!!
周りで生徒がチラチラと見ていることもあって、途端に恥ずかしさが込み上げる。
「あ、あのっ…離して下さい…!!」
モゾモゾと体を動かしながら後ろの男の人に訴えると、回されていた手がパッと離れた。