不良狼の一途な溺愛
「ちなみに、俺…柚ちゃんの隣のクラスの住人だし、あまり畏まったりしないで、気軽に声掛けてね!」
「う、うん…。」
なんだか、話しやすそうな感じの人…。
陸都君には、不思議と恐怖心が芽生えないや…。
そんなことを思いつつ、私はさっきから少し気になっていたことを訊ねてみた。
「ところで、どうして陸都君は私の名前を知っているの?もしかして紫堂君から聞いた…とか?」
おそらく、その線が一番濃厚だろう…。
そう推測していたけれど、陸都君の口から飛び出した理由は別のものだった。
「いや、蓮からは聞いてないよ。今日は、朝からずっと…クラスの女子が蓮のことで騒いでいてさ、その中で柚ちゃんの名前を聞いたんだ。」
「えっ、そうなの!?」
「俺らのクラスだけじゃないよ。多分…校内の女子たちには、朝の一件が広まってるんじゃないかな…。」
「………。」
思わず、絶句してしまった。
紫堂君の人気って、そんなにスゴいのか…。
これから先、女子生徒から冷ややかな視線を向けられるんだろうな…多分。
そう考えただけで、憂鬱な気持ちが膨らんでしまった。