不良狼の一途な溺愛

「ちなみに、俺…柚ちゃんの隣のクラスの住人だし、あまり畏まったりしないで、気軽に声掛けてね!」


「う、うん…。」


なんだか、話しやすそうな感じの人…。


陸都君には、不思議と恐怖心が芽生えないや…。


そんなことを思いつつ、私はさっきから少し気になっていたことを訊ねてみた。


「ところで、どうして陸都君は私の名前を知っているの?もしかして紫堂君から聞いた…とか?」


おそらく、その線が一番濃厚だろう…。


そう推測していたけれど、陸都君の口から飛び出した理由は別のものだった。



「いや、蓮からは聞いてないよ。今日は、朝からずっと…クラスの女子が蓮のことで騒いでいてさ、その中で柚ちゃんの名前を聞いたんだ。」


「えっ、そうなの!?」


「俺らのクラスだけじゃないよ。多分…校内の女子たちには、朝の一件が広まってるんじゃないかな…。」


「………。」


思わず、絶句してしまった。


紫堂君の人気って、そんなにスゴいのか…。


これから先、女子生徒から冷ややかな視線を向けられるんだろうな…多分。


そう考えただけで、憂鬱な気持ちが膨らんでしまった。



< 74 / 364 >

この作品をシェア

pagetop