不良狼の一途な溺愛
「蓮って、無愛想なクセに女子から絶大な人気あるんだよな。ホント…羨ましい。柚ちゃんも、そう思うでしょ?」
「う、うーん…。どうだろう…。」
私は肯定も否定もせず、適当に言葉を濁した。
同意を求められてもなぁ…。
ハハハ…と苦笑いをしていた私だけれど、頭の中にパッと紫堂君の命令が再生された。
そ、そうだ…!
ここで、まったりと会話してる場合じゃなかった!!
早く紫堂君のところに行かなくちゃ、怒られるっ!
私はアタフタしながら、陸都君にお辞儀をした。
「あのっ、私…紫堂君に呼ばれているから、もう行かなくちゃ…。」
“それじゃあ…”と陸都君に挨拶して行こうとすると、ギュッと手を握られてしまった。
「俺も行くよ。また早崎みたいな女に遭遇したら、柚ちゃんも大変だろうから。」
「い、いいよ…。私なら大丈夫だから…。」
「そんなに遠慮しなくてもいいって!俺、どのみち…今日は蓮の顔でも見に行こうと思ってたからさ。」
「えっ、陸都君!?」
遠慮してるわけじゃないのに…。
強引なところは紫堂君に似てるな……。
ズンズンと手を引いて進んでいく陸都君に対して、そんなことを思った。