不良狼の一途な溺愛
「蓮、きっとお待ちかねだよ。」
微笑む陸都君は勢いよく扉を開けた。
「よっ、蓮!」
軽快に声を掛ける陸都君に続いて私も屋上へと出る。
紫堂君は、フェンスに凭れながら座って、マンガを読んでいた。
「なんだよ、陸都っ!お前、今日は何しに…………えっ、柚?」
イラついた声を出しながら、素早く顔を上げた紫堂君だったけれど、私を見た瞬間、目を見開いてしまった。
ここに来いって言ったのは、紫堂君じゃない…。
どうして、そんなに驚かれないといけないのよ…。
不服に思っていると、紫堂君はマンガ本をその場に置いて立ち上がった。
私を見ながらスタスタと、こちらに近付いてくる。
表情は、瞬く間に不機嫌そうなものへと変わってしまった。
や、やっぱり怒ってるんだ…遅くなったこと。
怒られる前に謝っておいた方が身のためだろうか…。
なるべく平穏にやり過ごすための方法を考えていると、紫堂君はギロッと隣の陸都君を睨んだ。
「なんで、お前が柚と一緒なわけ?」