不良狼の一途な溺愛
「でも、紫堂君って…名前を呼ばれるのは嫌がってませんでした?」
「は?お前に名前で呼んでもらったことなんてねぇじゃん。」
「ち、違います!そうじゃなくて…、今朝…早崎さんに……」
確か、“馴れ馴れしく俺の名前を呼ぶな”って言ってたよね…。
なんか、矛盾してない?
紫堂君は、少し間を置いてから、“ああ、あれか…。”と思い出したように呟いた。
「早崎や他の女たちに気安く呼ばれるのはムカつくんだよ。」
「そ、それなら私も…」
「柚は特別。」
「えっ?」
「お前には、“蓮”って呼んでもらいてぇんだよ。」
紫堂君はクシャクシャと頭を掻いた。