不良狼の一途な溺愛
は…?
ど、どうして!?
「今の言葉、聞いてた?」
「もちろん。でも離したくない。」
「えぇっ、離してよ!」
「嫌だ。」
ちょっと!!
何よ、そのワガママっぷり!!
ツンと口を尖らせると、紫堂君は私を凝視してきた。
「な、何か?」
平静を装って聞いたけれど、背中には嫌な汗がつたう。
もしや、怒ってる?
怒りをかうほど、強い口調じゃなかったと思うんだけどな……。
紫堂君をまともに見れなくて、適当に視線を泳がせていた時だった。
「……ったく、仕方ねぇな。」
渋々と言った感じの声が降ってくる。
こ、これは…私の主張に紫堂君が折れてくれたってことよね!
やったぁ!
怒っていたわけではないんだと分かり、ホッとしていると紫堂君は言葉を続けた。
「それじゃあ、柚が俺のことを名前で呼んだら、離してやる。」