不良狼の一途な溺愛
「蓮君…。」
先ほどよりも、だいぶ声は大きくした。
どうやら、今後は蓮君にも聞こえたらしい。
私が呼んだ途端、瞬きを何度も繰り返して固まってしまった。
一体、どうしたっていうのよ…。
こっちは、さっさと離して欲しいのに…。
私は眉間にシワを寄せた。
「……もう一回。」
「はい?」
「だから、もう一回呼べって言ってんだよ。」
「えぇっ!?」
ワガママなお願いに、私は大声をあげてしまった。
「聞こえなかったわけじゃないでしょ?それなら、もういいじゃない…!」
「柚に、もう一回呼んでもらいてぇんだよ!」
よ、呼んでもらいたいって…何よ。
なんだか、ちょっと可愛い言い方…。
思わず笑みが零れそうになったけれど、必死に抑えた。