不良狼の一途な溺愛
「えっと…御苅 柚です。体調崩して休んでましたが、今日から宜しくお願いします…。」
ぎこちなく頭を下げると、クラスの人からささやかな拍手が沸き起こった。
これじゃあ、まるで…転入生みたいな感じだよ…。
あぁ、私…すごく目立ってる…。
恥ずかしさのあまり、顔が熱くなってしまった。
「よし、自己紹介ありがとな。御苅の席は…あそこだ。人数の関係で隣の席は誰もいないが、我慢してくれ。」
先生が指差したのは廊下側から2列目の一番後ろの席。
私は“はい”と小さな声で答えた後、教壇から逃げるように離れて、素早く席へと着いた。
クラスの人数が奇数なんだ…。
ま、まあいいや…。
隣が空席でも大して気にならないし…。
むしろ、この席…結構いいかも…。
カバンを机に置いた私は、熱を帯びたままの顔に、手でパタパタと仰いで風を送った。