不良狼の一途な溺愛
「あの、私……屋上には一人で行けるから大丈夫だよ?早崎さんたちも、あれから来ないし。」
「早崎たちには、キツく警告しておいたからいいけど、嫌がらせする女たちが他にもいるかもしれねぇだろ。油断は出来ねぇ。」
早崎さんたちに警告したのか…。
蓮君がキツく言うなんて、すごく怖そう……。
想像するだけで背筋がゾクゾクしてしまった。
「で、でも…手を繋ぐのはオーバーじゃない?みんな見てるし、は…恥ずかしいんだけど。」
キョロキョロと周りに目を向けていると、蓮君は動じることなく口を開いた。
「いいんだよ、見せつけてるんだから。」
「えっ、そんな必要ないでしょ!?」
「ある。それに、こうしていれば周りの男たちへの牽制にもなるからな。」
「へ?」
一体、何のために?
私はポカンと口を開けた。
蓮君が最強の不良なのは、みんな分かってるんだから、何も牽制しなくたっていいじゃない…。
まさか、もっと恐怖を植え付けたいんだろうか…?
お、恐るべし。
ご機嫌な様子の蓮君を見ながら、私の表情はますます曇っていくのだった。