不良狼の一途な溺愛
「へぇ、君が御苅さん?」
「はい…。」
「噂で聞いて、どんな子かなぁ…って気になってたんだ。今まで蓮に言い寄ってきた女たちとは、全くタイプが違うね。」
「は、はあ…そうなんですか。」
見知らぬ人にまで、私の名前を知られてるなんて…。
地味に過ごすどころか、これじゃあ…ちょっとした有名人だよ…。
嫌だなぁ…。
「こういう素朴な雰囲気の女の子が、蓮の傍に居るのって…すごく新鮮。しかも小柄で可愛いし。」
じっくりと見つめられ、戸惑っていると、私の目の前に蓮君が立った。
「おい、秀夜(シュウヤ)!そんなにジロジロ見てるんじゃねぇよ。柚が怯えてるだろうが。」
「あっ、悪い。」
蓮君のイラついた低い声に、男の子は苦笑いを浮かべた。
こ、怖い…。
何も、そんなに低い声を出すことないでしょうが…。
蓮君の放つ言葉の方が、よっぽど迫力あって怯えちゃうよ…。