これを運命とするならば
1. 階段にて
うちの会社に新しく役員が入るらしい、と噂を聞いた。
でも私には関係ない話な訳で。
だって私はただの一会社員だから。
だからまさか出会ってしまうことなんて、考えもしていなかったの。
「―――上村ー。出来上がったかぁ?」
先輩の声に私は一拍遅れて顔を上げなんとか笑ってみせる。
「お、終わりましたよ………休憩行ってきます」
私は先輩に書類を渡すと、代わりにお駄賃の千円札を握らされそのまま席を立った。
< 1 / 105 >