これを運命とするならば
あと数日もすれば欠けた部分のない姿を見ることができるだろうそれは、夜の闇に負けないように静かに輝いていた。
それを見て、ふと今日階段で会ったあの人を思い出す。
「………誰なんだろう」
誰にも聞こえないくらい小さな声でそう漏らすと、あの金色の瞳を思い返した。
すべてを拒絶するような冷たい瞳だった。
…そういえば。
「また会う、って言ってたっけ」
名前も知らない人にまた会うことなんてあるんだろうか?
電車の規則的な揺れに身体を預けて、私はそっと目を閉じた。