これを運命とするならば
いつの間にかまたあの笑みを浮かべて私に近づく三柴専務。
それだけで私は意識してしまってみるみるうちに顔に熱が集まっていくのが自分でもわかるくらいだ。
「さぁどうする。なんならこのまま…」
「わかりましたわかりました!やります、やらせていただきます!!」
そう叫んだ瞬間顎に添えられていた手がゆるりと離れ、私は晴れて自由になる。
真っ赤になった顔を見られたくなくて俯いた。
「…時間はまだまだある。お前のせいでこれからしばらくは退屈しないよ、なぁ椿?」
一つのソファの手を伸ばせば届いてしまうくらいの距離にいる、近くて遠いその人に私は最初から翻弄されっぱなしだ。