これを運命とするならば
ふぅ、と息を吐き、三柴専務は立ち上がった。
いつの間にか眼鏡は外されていて代わりに右手に眼帯を握っている。
「―――でもなぁ、椿」
名前を呼ばれて、心臓が跳ねた。
「お前とならその条件をなしにしたい、そう言ったらどうなるだろうな?」
そうはっきりと告げると私のそばまでやって来た。
さっきまでは恋しいと思った金色が今は怖い。
―――その刹那、視界が黒に染まる。
その黒が三柴専務のスーツの色だと気づくのにそう時間がかからなかった。