これを運命とするならば





よくよく話を聞くと、三柴さんは今年で29歳になるという。私の4つ上か。



「………椿」


「はい?」


「この話は忘れてくれ」


三柴さんは急にぽつりとそう言った。
私が首を傾げると、さらに言葉は続く。



「誕生日、だなんて祝ってもらったこともないし、…好きじゃないんだ」


金色の瞳が揺らぐ。
寂しそうに、悲しそうに伏せられた瞳は何を思い返しているのだろう。


私は何も言わなかった。
…そのかわり、ある決意を胸に秘めていた。





< 41 / 105 >

この作品をシェア

pagetop