これを運命とするならば
そして、あっという間に11月25日。
前日の晩に小さな小さなホールのケーキを焼いた私は、見つからないように役員室備え付けの冷蔵庫にしまった。
本日の三柴さんの予定は午前に会議が一つ、そのあとは社長とともに外出予定で会社に戻ってくるのは夕方だ。
…渡すならそのときかな。
「どんな顔するかなぁ」
部屋には私一人で、ケーキを渡すところを考えては少しニヤケる。
そう呟いてはなんとか仕事に集中しようとパソコンに向かい合うのだった。
―――願わくば、あの金色の瞳が曇らないことを。
喜びの色が映りますように。