これを運命とするならば





―――チョコの板に書かれた“happybirthday”の文字。
赤い苺を生クリームの上にデコレーションした、何の変哲もない小さなケーキに、三柴さんはしばらく見入っていた。



「誕生日、好きじゃないって言ってましたけど。…せっかく作ったんでよかったら食べてもらえませんか?」


三柴さんに視線を向けながらそう言うと、金色の瞳と視線がかち合う。
何も語らないその瞳から私は目がそらせなくて、ためらいがちにまた口を開いた。



「誕生日おめでとうございます」






………そう言った次の瞬間、視界が真っ暗になった。





< 46 / 105 >

この作品をシェア

pagetop