これを運命とするならば





突然バァンと部屋のドアが開き、声の主が部屋に入ってくるのを私たちは同時に目撃した。
三柴さんは慌てて眼帯を身につけ、私は蛍光灯の電源を入れに走る。



ぱっと部屋に明かりが灯ると、その人物の姿が明らかになった。



「………狭川」


三柴さんがそう呟くと、その人は嬉しそうにうんうんと頷く。



「おととい日本に帰ってきたんだ。んで、しばらく人材交流でこっちに勤めることになったから三柴の顔を見に来たんだよ!………って、三柴の秘書さん美人だねぇ〜」


「…許可なしにここに入るな。お前はそんな最低限の礼儀作法もままならないのか」


三柴さんはいつもより迫力のある声でそう返すと、盛大なため息をつくのだった。





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