これを運命とするならば
「…何の用だ。とっくに始業時間は過ぎているだろう」
「それを言ったら三柴だってそうじゃな〜い」
明らかに楽しんでいる口調に私は無性に腹が立った。
―――そうだ。
この男、こっちの会社に来てからなにかと私にちょっかいをかけてくる。…いや、私にではなく椿にか?
とにかく苛々する。
私ができないことをいとも簡単にやり遂げるその態度。
大学時代は常に違う女をはべらせていたくらい恋愛事に慣れている男が椿に興味を示したことに私は我慢がならなくなり、子供のように部屋を出てきてしまったくらいだ。
「椿ちゃん心配してたよ〜?」