これを運命とするならば
寝室のドアノブに手をかけようとした瞬間、向こう側からドアを開ける音がして扉が開く。
顔を上げると、いつものようにクツリと笑う三柴さんの姿があった。
「…よう」
その顔を見る限り熱は下がったようで、私は安心する。
西日が部屋に射し込んでいて、三柴さんの具合が悪かったにも関わらず綺麗な顔を一層美しく照らしていた。
「あっ、…具合良くなりました?」
「あぁ。さっき起きて熱計ったら6度1分だって」
そう答える表情は全くのいつも通りで、三柴さんが眠ってしまう前のやりとりのことを覚えていないようだった。
そんな彼を目の前にして、私は反射的に目をそらす。