桜の木の下でー落とした花びらが知っていたことー
私は泣きたくなると
よく公園のドーム型の滑り台の中でただ流れていく時間に身を任せていた。


外が暗くなったのに気付かず遅くまでそうしていると


決まって湊が迎えに来てくれた。


湊と私はいつも一緒だった。


でも中学生になると私たちは次第に話さなくなっていった。


もともと同じ町内に住んでいただけだったから
私たちの仲が疎遠になるのは簡単だった。


そう言えばあの頃も私に何かあると
話さなくても湊には全部お見通しだった。

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