碧いボール
第壱章

運命

今日も大好きな練習が終わって、今はミーティング中。
女バスの顧問は最近放任気味だから、「おつかれ」なんて適当な言葉で終わらせる。
・・・ほんとに困った顧問だ。
練習にはほとんど来ないし、たまに来てもいすに座ってるだけ。
・・・何しに来たの?
ほんとたま~にコメントしても、普段何もしないからみんなからの視線はキツイ。
あたしも、素直に聞かないと、とは思うんだけどつい睨んでしまう。
あんた、顧問でしょ!?って、思ってしまう。
・・・・・・だめなことなんだけどね。

ミーティングが終わると、今日はなぜか副キャプテンの杏に呼び出された。
なんだろ、今さらあらたまって。
杏が一言「ついてきて」と言う。
あたしは言われるままに杏についていった。
校内を歩いて、ついたのは2年4組の教室。
芦田がここの担任だから、よく使うんだよね。
ちなみに2の4は、杏の学級でもある。
あたしは2の1。
まあ、それはおいといて・・・本題。
あたしが教室に入ると、いつからいたのか、3人の部員が待機していた。
杏を合わせて4人。
女子部員全員のちょうど半分。
「すわって」
杏にうながされて、あたしは近くにあったいすに座った。
「あたしたちさ、バスケ部やめるから」
・・・・・・は?
何言ってんの?
杏がやめたらどうするの、とかいう感情の前に、ただただ驚くあたし。
「何で急に?どうしたの・・・」
「何でも何もないでしょ?急じゃないし。それに・・・」
杏はそこで言葉を切った。続きが気になる。
でも、杏とは長い付き合いだから・・・良い予感はしなかった。
案の定、杏の次の言葉は、理由がなくても、あたしにとってはすごくショックだった。
杏は、それをわかってて言ったんだ。

「有希のせいだよ」

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