碧いボール
自己暗示っていうの?
悲劇のヒロイン演じてたら、ほんとに悲しくなってきた。
改めて、お父さんが必要とするものが、あたしではないことを思い知らされた。
あたしは暗い気持ちを追い払うように頭を振った。
お父さんを横目で見ながらあたしは、二階にある自分の部屋までダッシュする。
部屋の片隅にあるベッドに、勢いよくダイビングする。
あたしの悲しい気持ちとは裏腹に、お布団はふかふかして、暖かくて。気持ちよくて、そのままあたしは眠りについた。

朝。
いつものように何度も繰り返される目覚ましを何とか止めて、朝の空気を思い切り吸い込む。
気温も上がってきたから、陽の当たるところは、ぽかぽかして心地良い。

セレクションは明日。 
でも今日は、部活が休みなので放課後、杏と練習に行く予定。
そのことを考えてたら、授業なんて頭に入るわけがなくて、あたしは一日中バスケのことを考えていた。
暇さえあれば本を読んだり。
あ、もちろんバスケの本ね♪とにかく、久しぶりの杏とのお出かけが楽しみだった。
いざ公園に行ってみると、杏はとっくに始めてたみたいで、額に汗がにじんでいる。
ああ、やっぱりうまいなあ。
杏はあたしが来たことに気づいてない
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