碧いボール
俺は親父さんに向き直って言った。
何を話したいのかはだいたいわかる。
同じような環境にいる人の気持ちとかって、すぐわかるもんなんだよな。
「相川のことでしょうか」
親父さんは驚くこともなく、そうです、と言った。
期待通りの話をされて、驚きはしなかったけど、でも・・・ショックだった。
親父さんは俺の目をまっすぐ見つめて話し始めた。
自分はバスケが大好きだということ。
若いときは相当の実力者だったこと。
奥さんが亡くなったこと。
それがきっかけで娘と放れてしまったこと。
会社ではあまりうまくいってないこと。
元々良くなかった食生活が、さらに悪くなったこと。
随分前に、体に違和感を感じて、病院に行ったこと。
医師に糖尿病と診断されたこと。
発見が早かったので、なんとか最悪の結果になるのを食い止められたこと。
まだまだあった。
この人は、男手ひとつで相川を育てて・・・いや、養って、そして娘に、大切なことを伝えられずにいる。
俺は自分が恥ずかしくなった。
何が悩みだ、何がいじめだ。
生徒にいじめられた、ただそれだけで毎日泣いていた自分が情けなくなった。
全て話して親父さんは、満面の笑みで言った。
「わたしのことは全て話しましたよ。コーチも悩みは似ているはずです。私でよければ相談にのりますよ」
この言葉を聞いて、俺はあふれる涙を止めることができなかった。
俺は弱い。親父さんに、何一つ勝てることなんてないんだ。
父親って、強いんだな。
何を話したいのかはだいたいわかる。
同じような環境にいる人の気持ちとかって、すぐわかるもんなんだよな。
「相川のことでしょうか」
親父さんは驚くこともなく、そうです、と言った。
期待通りの話をされて、驚きはしなかったけど、でも・・・ショックだった。
親父さんは俺の目をまっすぐ見つめて話し始めた。
自分はバスケが大好きだということ。
若いときは相当の実力者だったこと。
奥さんが亡くなったこと。
それがきっかけで娘と放れてしまったこと。
会社ではあまりうまくいってないこと。
元々良くなかった食生活が、さらに悪くなったこと。
随分前に、体に違和感を感じて、病院に行ったこと。
医師に糖尿病と診断されたこと。
発見が早かったので、なんとか最悪の結果になるのを食い止められたこと。
まだまだあった。
この人は、男手ひとつで相川を育てて・・・いや、養って、そして娘に、大切なことを伝えられずにいる。
俺は自分が恥ずかしくなった。
何が悩みだ、何がいじめだ。
生徒にいじめられた、ただそれだけで毎日泣いていた自分が情けなくなった。
全て話して親父さんは、満面の笑みで言った。
「わたしのことは全て話しましたよ。コーチも悩みは似ているはずです。私でよければ相談にのりますよ」
この言葉を聞いて、俺はあふれる涙を止めることができなかった。
俺は弱い。親父さんに、何一つ勝てることなんてないんだ。
父親って、強いんだな。