碧いボール
暇で、でも寝れない、そんな気持ちを抑えてあたしはあくびをする。
ベッドがギシギシときしんで、あたしの鼓動と同じ音色を奏でる。
心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいになり続ける音を止めるには、忘れるしかなかった。
もう１時なんだから。明日に備えて寝ないといけないんだから。
間違ってしまった、夜のカラスが鳴いた。
不吉な予感をどこかに感じながら、あたしは夢さえ付け入ることのできない深い眠りについた。

「おはよう！早いね」
「おはよう、お父さん、今日はセレクションだよ」
「知ってる。良い結果、楽しみに待ってるからね」
まだ夜中の風景を頭に残したまま、朝ご飯を頬張る。
今まで作ってきた分、めんどくさくなって、あれから一度も作ってない。
家事は全般お父さんがこなしてくれる。
今までありがとう、といつも言っているから、家事はあたしへのお疲れの合図なのかも。
それと、また一人で頑張ってっていう、抑えきれない悲しい気持ち。
そのことを頭から振り払うと、部活の格好をして家を飛び出す。
ふと、残る手に違和感を感じて反射的に後ろを振り向いた。
お父さんが手首を掴んで立っていた。
「お父さんが作ったお守りだよ。これからは存分」
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