碧いボール
こうなったら、意地でも条件、クリアしてやる。
半分意地だった。
多分、杏も意地張ってる。
約束は意地でも破らないって、あたしのための意地。
麻紀たちは、乗り気じゃないみたい。
きっと、杏があたしの条件を了承したから・・・。
麻紀たちは気をつけないと、本気を出してこないかも。
杏派の中で一番、杏の信者的な・・・真由香は安心かな。
杏が言ったことには、きっと従うはずだし。
油断してはいけない。
真由香の中での、杏と退部の重さにもよるから、何とも言えない。
とりあえず、スタメンはあたしと杏と、あたし派の人3人かな。
麻紀も出したいけど、本気でやってくれなかったら・・・。
でも、そう考えてたらきりがないよね。
あたしは杏たちに、とびっきりの笑顔でさよならを言った。
杏Side
・・・・・・ふぅ。
疲れた。精神的に疲れた。
今、有希が教室を出た。
有希が完全に視界から消えると、あたしたちは座り込んで話しはじめる。
・・・緊急会議。
これは、予想外のところをついてきたな・・・なんて。
みんなを見ると、みんなもそう思ったみたい。
顔にかいてあるよ・・・笑える。
あたしが最初に発言する。
「いい?あたしだって退部はしたいけど、でも有希の条件、みんなも聞いたよね?」
みんなが渋々というようにうなずく。
うん、いい反応。
「もう約束はしたから、みんなも全力で頑張ってほしい。あたし派のほうが強いから、みんな出してくると思う」
みんな強いからね。
あたしも有希も認めてる。
「大丈夫。どうせ、優勝なんてできないって・・・だって、あと半年もないんだよ?」
みんながそうか・・・という表情になる。
あたしも最初は、有希のことだから・・・なんて不安だったけど、きっと大丈夫。
奇跡・・・っていうのも、ありえない。
もし、奇跡的に一回戦突破できても、碧いボールは手に入らないのだから。
あたしたちの作戦勝ち。
あたしは自分でもわかるほどに、意地悪く笑った。