とある霊能力者への相談
それを悩む旅館経営者達の思念と生き霊が動き出し、ウワサの心霊現象を起こしていたのだと、サアヤは言う。

経営者達は亡くなってからも、その旅館に心残りを残していた。

それが残留思念と化し、生き霊と共に動いていたのだろう。

「じゃあ悪いモノはいなかったの?」

「―元々あの旅館の土地には、そういうモノはいられない力があったみたい」

「…なるほどね」

だからサアヤは居心地の悪さを感じていたのか。

「でも残留思念や生き霊は別。特にその土地に住む者のだったしね」

「じゃあ旅館の経営を何とかする為に、それらの現象は起こっていたのね。でも無くなった今、起こるはずもない」

「そっ。だから完全に事故。けれど女将は騒ぎ立てる。だからテレビ局も、あの放送を流そうか悩んでいるんだって」

すでに季節は秋。

季節外れになってしまったのは、旅館に心霊現象が起こらなくなったウワサが立ったのと、女将が騒ぎ出したことが原因。

「じゃあ『相談』って、そのこと?」

サアヤが食べさせてしまったことは、不幸な事故だったとも言える。
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