とある霊能力者への相談
浄化作用のある土地は珍しくない。

悪いモノが集まらない清浄な場所なのに、わざわざ災いを言いふらすなんて…。

深く息を吐きながら、わたしは立ち上がる。

「じゃあちょっと電話してくるわね」

「うん。お願い」

言いたいことを言ってスッキリしたのか、サアヤはポットからハーブティーを注いで、機嫌良く飲む。

わたしはリビングを出て、ダイニングキッチンへ向かう。

そこには母がいて、ソファーに座ってテレビを見ていた。

「お茶のお代わりがいるなら、持っていったのに」

「ううん。ちょっと電話連絡する為に来たの。テレビの音、低くしてくれる?」

「分かった。…おや、この旅館…」

「えっ?」

『旅館』と言う言葉に、携帯電話を手にしながらわたしはテレビを見た。

テレビに映っていたのは、例の旅館と女将の写真だった。

「うそっ!」

わたしはテレビに駆け寄る。

アナウンサーの話しでは、今朝、女将が首を吊って亡くなっているところを、旅館関係者が発見したらしい。

「ちょっ、サアヤ! サアヤ、来てっ!」
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