ケイヤク結婚
―綾乃side―
今日は理沙ちゃんと一緒に、結婚式のときに着るドレスを選びに来ていた。
ウエディングドレスとお色直しに着るドレスを決めようと思っているんだけど、どれを着てもしっくりこない。
「お兄ちゃん、遅いねえ」
理沙ちゃんが、携帯の液晶で時間を眺めながら口を開いた。
白くて座り心地のよいソファに座っている理沙ちゃんが、携帯を鞄の中に放り投げた。
二つ折りの携帯が、バコっと何かにあたった音がして、鞄の奥へと落ちて行く。
「たぶん……来ないかも」と、自信なさげに私が呟く。
先日のパーティの帰り道、大輝さんが『式については、綾乃さんにお任せします。お好きに式の準備を進めてくださって結構ですから』と冷たく突き放されてしまった。
昨日も、一応『ドレス選びをします』とメールを送っておいたけれど、今朝になっても何の返答も無かった。
「なんで、お兄ちゃんが来ないの?」
「う、ん。いろいろあって……」
「いろいろって?」
私は『うーん』と唸り声をあげながら、ドレスの試着のためにアップしていた髪の毛を解いた。
今日は理沙ちゃんと一緒に、結婚式のときに着るドレスを選びに来ていた。
ウエディングドレスとお色直しに着るドレスを決めようと思っているんだけど、どれを着てもしっくりこない。
「お兄ちゃん、遅いねえ」
理沙ちゃんが、携帯の液晶で時間を眺めながら口を開いた。
白くて座り心地のよいソファに座っている理沙ちゃんが、携帯を鞄の中に放り投げた。
二つ折りの携帯が、バコっと何かにあたった音がして、鞄の奥へと落ちて行く。
「たぶん……来ないかも」と、自信なさげに私が呟く。
先日のパーティの帰り道、大輝さんが『式については、綾乃さんにお任せします。お好きに式の準備を進めてくださって結構ですから』と冷たく突き放されてしまった。
昨日も、一応『ドレス選びをします』とメールを送っておいたけれど、今朝になっても何の返答も無かった。
「なんで、お兄ちゃんが来ないの?」
「う、ん。いろいろあって……」
「いろいろって?」
私は『うーん』と唸り声をあげながら、ドレスの試着のためにアップしていた髪の毛を解いた。