ケイヤク結婚
「結婚をした」

「え?」

 ゆかりの机をたたく指先がぴたっと止まった。

 信じられないと言わんばかりの表情で、俺を見つめてきた。

 それもそうだろう。半月前までは、ゆかりと付き合っていた。

 別れた後も淡々と仕事をこなしていて、女の影なんて全くなかった。

「いつ?」

「今日」

「なんで……」

「気が合ったから」

 というか、お互いの条件が合ったから、と言うべきだろうな。

「うそ」

「本当」
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