ケイヤク結婚
「誰? 同じ職場? ていうか、私が知ってる人?」

「知らない人」

 俺だって知らない。

 わかるのは、妹と同じ職場だってこと。

 理沙がすすめてくるんだ。人として、嫌なヤツじゃないのだろう。

 理沙は本当に信頼できる人間にしか、心を開かないから。

「そんな」とゆかりが立ち上がって、椅子を元の位置に戻した。

「大輝が結婚なんて……」

 ブツブツと何か独り言を呟きながら、ゆかりが部屋を出て行った。














「えらくまた今日は、遅かったな」

 自宅に戻ると、同居している竹内 渉が玄関先に出てきた。
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