ケイヤク結婚
―大輝side―
「再来週の金曜日なんですが、あいてますか?」

 冬馬さんと夕食を共にして、彼女の家に送り届けたときに俺は聞いた。

 車から降りようとしていた冬馬さんが、振り返ると不思議そうな表情をした。

「会社恒例のパーティがあるんです。良ければ出席して欲しいんですが」

 所帯持ちのほとんどが、妻同伴で来るから。できれば俺も、冬馬さんを連れていきたい。

 結婚式前だが、すでに入籍をしているのは、会社の上司たちは知っている。

 異動の件もあるから、きちんと妻を紹介しておきたい。

 たぶん新垣も婚約者を連れてくるだろう。結婚するつもりだろうから。

上司たちに紹介して、昇進に大きく関わってくる異動をなんとしても手に入れようとするだろう。

< 69 / 115 >

この作品をシェア

pagetop