ケイヤク結婚
 私は首を左右に振った。

「侑、私たちの関係はもう終わったの」

「俺にチャンスもくれないのかよ」

 私はグイッと侑に腕を掴まれると、引っ張られた。

「ちょっと、侑?」

 私は抵抗しようとするが、侑の引っ張る力には勝てずに引きずられるように足が動いた。

 侑がパーティ会場を出ると、胸ポケットからカードを出した。

「上に部屋をとってあるんだ」

「え? ちょっと……」

「チャンスが無いなら、自ら作るしかないだろ?」

「侑、何を考えて」
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