君のための嘘
「からかってなどいないよ 本気で言っているんだ 夏帆ちゃんと結婚したら、侑弥の為にも美由紀を吹っ切れそうだ」


ラルフは移動して夏帆の隣に座った。


そして彼女の手を両手で包み込む。


「結婚してもしなくても、美由紀さんとは別れるべきです 大事な友達を裏切っているんですよ?」


「別れたいと何度も言っているんだけどね……それなら離婚すると言ってきかないんだ 離婚になったら、侑弥や安奈ちゃんが可哀想だろう?」


「たとえ、私達が結婚したとしても、美由紀さんは別れないって言います」


それほどラルフに執着しているのなら、別れないだろう。


「僕が結婚したら、関係を清算すると言っている だから君が良ければ結婚して欲しい 生活は保障するよ」


「……」


夏帆は答えられなかった。


愛のない結婚……。


< 101 / 521 >

この作品をシェア

pagetop