君のための嘘
「ないんです!私のバッグが!どうしよう……!」


あのバッグがなければ、ここから一歩も動けない。


霧生家に行くしかなくなる。


「空港警察へ届けましょう」


「そうだわ!警察へっ」


メガネを押さえながら、空港の出入口へ向かおうと一歩踏み出した時、そこから3人の男たちが出てくるのが見え、足が止まる。


あの人たち……。


急いで向きを変えると、彼の胸にぶつかりそうになった。


「どうしたんですか?」


彼は不思議そうに夏帆に聞く。


「う、動かないでください!」


彼の後ろに回り込み、辺りを見廻している男たちの目から隠れようとした。


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