君のための嘘
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食事が終わるとラルフは紅茶を淹れてくれた。


美味しそうなクッキーが添えてある。


クッキーを見ていると、ラルフが口を開いた。


「さっき君の為に買って来たんだ」


確かに、クッキーが入っているお皿は一枚しかなく、ラルフは夏帆の紅茶の横にその皿を置いた。


「食べてみて、美味しいと評判の店で買ったんだ」


「あ、はい……」


夏帆は葉っぱの形をしたクッキーをつまんで口に入れた。


ほんのりレモンの香りでさっぱりとした甘さが口の中に広がり、思わず頬を緩ませた。


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