君のための嘘
「誰かに追われているんですか?」


「え?そ、そんなんじゃないんですけど……あぁ!動かないでくださいっ」


彼のトレンチコートの腕からこっそり、出入口を見てみると1人だけその場に残っていた。


という事は、2人が自分を探している。


「何か困っているみたいですね?」


彼が聞いてくる。


困っている……最大に困っている お金もパスポートもないし、どんな男か分からない人と結婚させられそうになっている。


その時、男ふたりがこちらに歩いてくるのが見えた。


夏帆はビクッと肩を震わせた。


どうしよう!


捕まって霧生家に行くしかないのだろうか……そんな事を考えた時、柔らかい声が降ってきた。


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