君のための嘘
「夏帆ちゃん、そこのダッシュボードからサングラスを取ってくれる?」


「あ、はい」


目の前のダッシュボードを開けて、ケースを手にすると中から黒っぽいサングラスをラルフに差し出した。


サングラスをさりげなく身につけたラルフは言い表せないほどカッコいい。


自分と違い過ぎて、夏帆は結婚の写真を撮るのが嫌になりそうだった。


きっとタキシードを着たら様になっていて、もっとカッコいいんだろうな……。


「夏帆ちゃん、どうかした?」


赤信号でラルフは車を停めていた。


「えっ?」


「ため息ついていたよ?」


「あ……何でもないんです」


急いで取り繕い、表情を和らげて夏帆はラルフを見た。


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