君のための嘘
「そう?」


納得していないようなラルフだが、信号が青に変わり車を発進させた。


「夫婦になるんだから、これからは何でも話してくれると嬉しいな」


「……はい」


夫婦だけど、夫婦じゃない……この先、別れるはずだから精神的にラルフに頼りたくなかった。


精神的にも、肉体的にも、夏帆はラルフにどんどん惹かれていくのが怖かった。



******



10分後、ラルフは一面がガラス張りの店の前に車を停めた。


「着いたよ、ここは有名な結婚専門のスタジオなんだ」


中から黒いスーツを着た女性が扉を開けて待っている。


ラルフは運転席を離れると、フロントを回って助手席のドアを開けた。


降りたくない気持ちが大きかったが、夏帆は車から降りた。


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