君のための嘘
「いらっしゃいませ 早坂様」


入り口で待っていた女性が、丁寧に頭を下げた。


ラルフは軽く頷くと、夏帆の腰に腕を回して中へ入った。


中へ入ると、赤いカーペットが敷かれた白い手すりの螺旋階段が目に入る。


側面の壁を見れば、カップルの結婚写真が飾られている。


素敵な写真ばかりだ。どの写真も花嫁が美しく見える。


「夏帆ちゃん、ドレスを選ぼうか」


「はい」


ふたりはウェディングドレスのフィッティングルームに案内された。


サイズ、色、デザイン、たくさんのウェディングドレスがあって、夏帆は頭がくらくらしそうだった。


どうしよう……選べない……。


「素敵なドレスばかりだ すまないね 夏帆ちゃん、時間があったらオーダーメイドにしたかったんだけど」


「何を言っているんですかっ、レンタルで十分です」


夏帆は慌てて首を大きく振った。


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