君のための嘘
部屋に入ると、すぐに最初から付いてくれていた女性スタッフが困惑気味で夏帆の元にやって来た。


ウェディングドレスを脱がしてくれながら、何かお気に召さない所があったのでしょうか？と聞いてくる。


「すみません　ちょっと具合が悪くて……」


「まあ、ウェストを締め付けたせいでしょうか？大丈夫でございますか？」


女性スタッフが心配そうに夏帆の後ろに回り、ドレスのジッパーを下げて行く。


ウェディングドレスを脱いだ夏帆は私服に急いで着替えた。


自分勝手なことをしているのは十分承知している。


でも、似あわないものを着ていたくなかった。


先ほどの部屋に行くと、すぐに夏帆の元へラルフがやってくる。


「夏帆ちゃん、どうかしたのかい？」


「花嫁様、具合が悪くなったようなんです」


夏帆に付き添っていた女性スタッフが、夏帆の代わりに言う。


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