君のための嘘
すぐに車に戻って来たラルフは黙ったまま車を発進させた。


「ラルフ……」


夏帆が戸惑いの声を上げるも、まっすぐ前を見つめたまま運転していた。


******


15分後、ラルフは閑静な住宅街が見えてきた。


そして、更に5分ほど行くと白い壁が眩しい豪邸の前に車を停めた。


「さあ、着いたよ 降りて」


そう言うと、夏帆のシートベルトを外してからラルフは車から降りた。


夏帆は仕方なく車から降りようとドアにかけようとした手が空を切り、外から開かれ身体が前のめりになった。


「きゃっ!」


座席から落ちそうな身体をラルフに受け止められた。


ラルフに抱きつく形で。


< 135 / 521 >

この作品をシェア

pagetop