君のための嘘

変身

「そこに座りなさいな」


まるでお姫様のような豪華なドレッサーの前のイスに夏帆を座らせると、後ろを向きリリは何やら用意を始めた。


そして振り返ったリリはハサミを持って、鏡の中の夏帆を見てにっこり笑う。


「原石、自信をつけさせてあげるわ」


夏帆の髪が後ろで一つにまとめられ、前髪もピンで留められて卵形の顔が丸見えになる。


「眉の手入れ、いつやったの?これじゃあ、だめよ」


そう言いながら、夏帆の眉毛が眉用の小さなハサミで器用に整えられていく。


「私、ナチュラルな眉、好きよ 綺麗な形だから整えるだけで洗練されたようになるわ それから肌がくすんでいるわね リンパマッサージをしてあげるわ これを着てきて、そのままだと服が汚れちゃうから」


リリはそう言うと夏帆にサテンのローブを渡す。


夏帆は手にしたサテンのローブを見て瞳を曇らせる。


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