君のための嘘
「いいのよ、あたしの手は神の手だって有名なんだから だいぶ筋肉がほぐれてきたわ」


リリは満足げに言いながらも、手の動きは止めない。


「でも、やっぱりラルフたんが寝かせてくれないのかしら?」


ちょっと嫌味っぽく言われ、夏帆は驚いて飛び起きた。


「ね、寝かせてくれないって……!?」


「ちょっと、原石 早く横におなり」


肩をグッと押された夏帆は施術台のシートに背中がぶつかる。


「ふふ、真っ赤になっちゃって あたし、嫉妬しちゃうわ~」


リリさんは完全に勘違いしている。


それを正そうと口を開いた時、ドアがノックされて夏帆は口を閉じた。


リリはイスから立ち上がるとドアに向かう。


なかなか戻って来ないリリを待つ夏帆は眠気に襲われる。


眠くなっちゃうよ……。


横になって待っている夏帆は再び瞼が落ちた。



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