君のための嘘
「水ぶくれにはならなさそうだ 良かった」


ラルフは夏帆の指先を見て言った。


「ありがとう……」


指先が痛むどころか、手首を掴まれたラルフの手を意識してしまい顔が赤くなっているかもしれない。


「食べようか」


テーブルまで戻って来ると、今度はラルフが慎重に土鍋の蓋を開けた。


******


その夜、ひとりになった夏帆はラルフをだんだんと意識せずにはいられなくなっていることを悩んでいた。


意識したらダメ……。


夏帆はラルフを頭から締め出して、明日から働くことを考えて早めに就寝した。


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