君のための嘘
「ああ……そうだね 期待しているよ」


「はい、でも……あの……」


「ん?」


「……私がこんな事を言うのもおかしいけれど……私達って……なんと言うか……その……距離感が……」


ベタベタしたいわけじゃない。


けれど愛し合って結婚した感じではないように傍から見えるのではないかと思ってしまう。


話しながら夏帆の頬が赤くなっていく。


やっと言い終えると、ラルフの視線から逃げるように点いていないテレビの方を見る。


「……なるほど、そうだね 僕たちには距離感がある その通りだよ ごめんね 夏帆ちゃんに言わせてしまって」


ラルフは大きくもっともだと言うように頷いた。


「彼女を納得させるには僕たちが親密に見えるようにしないといけないね」


「っ、で、でも……」


親密がどんな感じなのかわからない。



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