君のための嘘
「例えば……」


ラルフはソファから立ち上がり、夏帆の隣に座る。


隣に座ったラルフに夏帆の心臓がトクンと鳴る。


「た、例えば?」


すぐ近くにラルフの顔で夏帆は手が汗ばんできてスカートに撫でつける。


そんな夏帆を見てラルフはフッと顔を崩す。


「そんなに緊張しないで 夏帆ちゃんに指摘されておいて良かったよ 僕たちに練習が必要みたいだ」


前にラルフに抱きしめられた時はこんなに緊張しなかったのに……。


夏帆は戸惑い視線を泳がせた。


「フフッ、夏帆ちゃん、僕の目を見て」


「っ!で、出来ないっ 変に緊張しちゃってるの!」


すくっと立ち上がった夏帆の顔はリンゴのように赤い。


「夏帆ちゃん……」


「……」


ラルフは手を伸ばし、夏帆の手首を掴み引っ張った。


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