君のための嘘
******


翌日、私達は車で出掛けた。


昨晩、ラルフは必要な物を買いに行こうと言っていた。


何を買いに行くのだろう。


運転するラルフは鼻歌交じりに機嫌よく運転している。


「ラルフ、何を買いに行くの?」


「いろいろだよ」


いろいろって……。


「ああ、もう着いた」


マンションから30分ほどして着いた所は大型ショッピングセンターだった。


屋上に車を停めたラルフは運転席を離れると、助手席に座っている私のドアを開けてくれる。


「さ、若奥様 買い物に行きましょう」


芝居がかった言い方で、夏帆に言う。


今日のラルフはとても気分が良いように見える。


< 180 / 521 >

この作品をシェア

pagetop